貧乏な低学歴ほど子供を産むので、貧乏な低学歴を増やせば少子化を止められる?

日本の合計特殊出生率は1.41。

これは大雑把に言うと2人の大人が平均して1.4人の子供を作るってことですから、人口は減ってゆき、高齢者の比率が高くなるのは必然です。

人口が減るのはまあいいとして、あまり生産せず、医療費や年金がかかる高齢者の比率が高まるのは、それを支える現役世代には厳しいものがあります。一人当たりGDPで見ても働く人の比率が減るわけですから当然厳しくなりますね。

そんなのもあって少子化が問題視され(東アジアではマシな方みたいですが)、安部政権は出生率1.8を目標に少子化対策を進めているはずです。

 

この出生率ですが、時系列で見るとずっと下がってきたものの、2005年の1.26を底に実は最近はやや持ち直しつつあります。とはいえ、団塊ジュニアがもう出産難しくなってきたため出生数は低下傾向、ただ、今年は前年を上回りそうな勢いみたいです。景気のおかげですかね。

 

この少子化の原因として、婚姻率の低下、児童あり世帯の兄弟数の減少などが主に時系列の分析を基に言われています。

 

その結果、所得や勤務形態と婚姻率との関係から、安定した職と所得向上が必要だとか、自治体が婚活イベントをやったりとか、保育の充実を図ったりなどの施策が提案されています。

 

それでですね、この出生率ですが実は県別に大きな差があります。最高は沖縄の1.86、最低は東京の1.15です。日本が全部沖縄になれば、見事に出生率の目標達成です。

東京はあまりにも少子化すぎですよ。人口の多い東京がこの体たらくでは目標達成はキツイですね。

 

面白いのは、沖縄は出生率こそ1位ですが、県民所得は最下位、失業率は最高なのです。そして、出生率最低の東京は一人当たり県民所得最高です。ここだけ見ると、少子化の理由はカネや職でもないような気がします。

 

試しに、時系列データでなく、県別データから少子化の原因のヒントを探ってみようと思いましてちょっとやってみました。

 

これが集めたデータです。小さくて申し訳ないですがこの表は読まなくても大丈夫です。飛ばしてください。

f:id:gettoblaster:20151013205609g:plain

先に謝ってっておきますが、データ年度はH21年度の物からH26の物まで混ざっています、しかし、どれもそんなに急に変わるものではないのでとりあえずの傾向見るには大丈夫かなと思います。

 

これで、出生率と各データの相関を出してみたらこうなりました。

f:id:gettoblaster:20151013205400g:plain

 

相関係数をグラフにしていますがこれは0で全く関係がない、1で完全に正の相関、-1で完全に負の相関ということになります。

棒が長いほど出生率と関連がありそうだという風に見てください。

 

これで見るとまず、「初婚年齢が低い県ほど、出生率が高い」ということが言えます。これはまあそうだろうと納得ですね。出産可能年齢までの残り時間も長くなりますし、若い方が妊娠しやすいようですし。

 

次に「大学進学率が低い県ほど、出生率が高い」と言うことが言えます。大学進学率と初婚年齢は相関係数0.74ほどと強く関連していますからこうなります。単回帰のR2も0.5位はあります。

女性だけでなく男性の進学率の方が相関係数が強いのが少し面白いのですが、この2つの相関は0.94あるのでまあほとんど同じ数字と言えそうです。

大学に行かなければ、初婚年齢も低くなるという前項とのコンボもありそうです。

 

カネの話でいいますと、グラフの一番下ですが実は「一人当たり県民所得が低い県ほど、出生率が高い」と言えます。貧乏人の子だくさんなどと言いますが、実は、カネがない県民ほど子供を産むのです。

 

「女性の生涯未婚率が低い県ほど、出生率が高い」というのはまあそうだろうなと。

 

そして実は、失業率出生率とはほとんど関係ないようですね。

 

これでいけば、大学に行かず、早く結婚する、貧乏な世帯を増やせば子供が増えるという実にイケてない仮説が導かれます。

 

育英会奨学金を止めることが最良の少子化対策である可能性があるかもしれません。

 

ちなみに、大学生を減らしてこの人たちに大学行く代わりに働いてもらい、労働人口を増やすことは、人口全体の労働化率を高めることにもつながります。

大学生を半分にしてその分働く人が増えれば、20万人×4年分で80万人働く人が増えますから。これでGDP2~3兆円程度の押し上げが期待できるんじゃないでしょうか。

 

大学に行かないことが普通になれば、子育て費用も安くなって気軽に3人目を産めるようになるしこれも意外とあるのかも。

その結果大学が減れば、補助金も減らせて財政的にもいいですし。

 

但し、賢いやつがある程度いないと社会は回らないので、貧しくて賢い子供には浮いたお金で給料出すくらいの勢いで高等教育の機会を与えてもっと賢くなってもらい、将来社会を引っ張ってもらわないといけないですね。

一方、私のような凡才は高校の教育で十分な気がするんですよね。もしかすると高校の教育ですらやりすぎかも。実際、高校で習った微積分も需要供給曲線も忘れてしまいましたが普通に生きていますし。高校の教育プログラムについていけないのに大学行くってのも変ですけどね。微積できなければ素直に高校で留年すればいい。

 

今回日本の県別でやりましたが、国別でやっても同じような傾向が出そうです。進学率が低く貧しい国は大抵出生率も高いですから。北欧のような例外もありますが。

でも実際には、結婚、育児に対する社会的な規範意識や共同体の存在などここにない要因の効果が大きく、進学率や所得は代理変数になっているだけかもしれません。

 

回帰分析などもやってみているのでそのうち書きます。