介護や保育の人手不足と建設業の給料が上がる理由を説明します
給料の額ですが、基本的には
■労働需要と供給の関係で給料は決まる。
と思えばいいのではないでしょうか。
結局雇用も市場ですから、価格メカニズムは働きます。
中学でやった需要供給曲線の通りに。
分かりやすくするために労働市場の用語に変えてみましょうか
需要は、この場合「求人」ですね。どれくらいの働く人を企業が探しているかです。
供給は、「求職者」です。どれくらいの人が仕事を探しているかです。
価格は、「賃金」というか給料。
数量は、何人が働いているかという数字に置き換えられます。
さて、これで求人が増えるとこうなります。
求人は需要曲線なので、これを右側に動かします。青の点線が青の実線の所に移動します。
すると、赤の供給(求職者)曲線との交点が前よりも右上に移動します。
この交点の移動ですが、左右の移動は雇用人数を示すので、右に移動することは働く人が増えることを意味します。
上下の移動は賃金を示します、上に移動すれば賃金が上がるということを示します。
この変化を言い換えると
企業「仕事が増えて人が足りないので、もっと人を増やしたい」
求職者「おまえんとこ安いやろ」
企業「人が来ればもっと仕事が取れるので、金を増やして人を取るしかない」
求職者「ええやん、入社するわ」
これで、雇用者増、賃金増が実現する訳です。
このため、仕事が多く、労働需要が多くて人手不足になれば価格メカニズムが働いてちゃんと給料は上がります。
今アツイ業界と言えば建築業界。2020年まではこのまま好況が続くんじゃないですか。
建築関係はやはり給与も増えてきています。
建設労働者の残業代を除いた年間所得推移(賃金構造基本統計調査より作成)
2012年 391.5万円
2013年 394.9万円
2014年 408.5万円
2015年 432.7万円
建設労働者はこの2年で1割位給料増えてるんですよ。
デフレだなんだと言ってもちゃんと増えるときは増えるんです。
ついでに、求職者だけが増えてしまった状態です。
この場合交点は右下に移動します。
雇用者増と賃金減の状態で均衡するということですね。
企業「仕事がないから人はいらないんだよね」
求職者「お金安くていいから働かせて」
企業「安く雇えるなら安売りして仕事増やせるかも。入って、どうぞ」
求職者「ええやん、入社するわ」
ということでしょうか。
こんなわけで、この需要供給曲線はとても便利な道具で、色んなことを説明できます。
実は、介護や保育などの人手不足もこれで説明できます。
介護や保育と建設業の大きな違いは、価格転嫁ができるかどうかです。
建設の場合、「仕事が増えた→給料増やした→受注単価も上げた→ちゃんと儲かる」というふうに、賃金上げた分十分に値上げして取り返してますから、賃金上げて雇用が増えて均衡することができます。
ところが、介護や保育は、料金が介護保険や市町村からの補助金で決まっている公定価格なので値上げが出来ず、このため給料も上げられないというのが現状です。
これを需要供給曲線でやると、こうなります。
介護老人や保育園入園希望者が増え、求人が増えたので、青色の需要線が点線の場所から実線の所に右に移動します。
普通であれば、交点が右上に移動して、賃金が上がり雇用人数も増えてバランスするはずですが、公定価格で値上げが出来ないので、賃金はそのままで交点まで上がれないとします。
すると求人数と求職者数は一致することが出来ず緑色のギャップが出来てします。
これが人手不足というやつです。
福祉分野は公の関わりが多く、そのことのメリットはあるのですが、価格メカニズムが働かないためこのような需給ギャップが生まれがちです。
価格メカニズム使えば待機児童なんてすぐにゼロになるんですよね。
その上で貧困世帯にお金を配るのがいいのではないかと思えます。