ド素人がアベノミクスを説明してみる<1>

最初に言っておきますが私は経済学を学んだことはない素人です。

 

しかし、その昔大学受験の際、経済とか好きな変な高校生だったので、センター試験用には政治経済を選択していました。

で、模試を受けてみたところ、まぐれで政経の成績優秀者に載ることができ、灘や開成など名門校の名前が並ぶ中に私の底辺校を載せる快感に目覚めてしまいました。

当然全科目で載ることは私の頭の出来上あり得ないのですが、政経だけなら暗記すればいいだけなので私の頭でも地道に頑張れば載ることも可能だったのです。

その後は理系クラスでありながら政経の勉強ばかりしていて、政経だけはできるものの他科目の成績は当然ですが面白いほど伸びず、当然ながら受験も失敗に終わり、その後も順調に失敗人生を歩んでいます。

 

経済に人生を狂わされた男と言ってもいいかもしれません。

 

このため、仕事も金融関係ではないのでちゃんと勉強した人には笑われそうですが、もしかすると全くの素人の人にアベノミクスの基本的なことを解説する位の事ならできそうな気がしています。

理系の人には理解しかねるかもしれませんが、経済学には色々な流派が生き残っており、同じ現象に対しても異なる意見や解釈を持っています。

このため、私の意見も、合意してくれる人も否定する人もどちらもいるあくまで一つの見方に過ぎませないのですが、ご参考になる人がいるといいかなと思っています。

 

それではまず、アベノミクス前20年間の状況を私見ですが説明します。失われた20年というやつですね。

 

経済は循環的なので、色々な要因が複合して状況を作りますのでちょっと長くなりますがよろしければお付き合いください。

 

1.経済成長してませんでした。

この、すっとゼロ成長というのは実は普通でない事態です。20年間成長率1%以下が続いた国なんて多分ないと思います。

たいていのことはやってると少しづつ上手になりますし技術も進むため、同じだけやっていてもだんだん沢山モノが作れるようになり生産高が上がります。そうすると全体としては普通経済成長していくというわけです。

では、なぜ、ゼロ成長だったのかですが、結局需要が少なかったからじゃないですかね。供給力は余っていて商品を作れるのに、需要がなくて買ってくれない、だから作らない。GDP増えない。ということです。需給ギャップとか言いますがこれが原因かなぁ。

通常こういうギャップは価格の変動(この場合値下がり)で解消されるのですが、解消しきれなかったのですね。

 

2.それなのに金が余っていました

需要がないのは金がないから?と思いがちですが、実はお金は日本に沢山あります。

日本の世帯の平均貯蓄は2000万円なんて数字もありますし、日本の家計には潤沢にお金はあるのです(高齢者に偏ってますが)。

この預金は銀行に貯金され、銀行はこれを企業に貸すことで利ザヤを得るというのが普通の世の中なのですが、日本の企業は需要がないので投資をする気が起きず、

資金のニーズがあまりありませんでした(国とソフトバンク除く)。

このように、貸したい金は多いけど、借りてくれる先がない。金利が0%の近くまで低くてもそれでも企業は借りて投資してくれないという...

こんなにお金があるのに、なぜ需要に変わらなかったのでしょう?金利が安いのになぜソフトバンク以外は投資しようと思わなかったのでしょう。

その一因がデフレというやつかなと思います。

 

3.デフレでした。

デフレというのは、物価が下がり、賃金も下がって貨幣の価値が高くなっていく状態のことです。どちらも下がるので、デフレ自体が直接暮らし向きを悪くするということはありません。

日本では20年ほどあまり物価が上がらない状態が続いていましたが、これは基本的には需給ギャップのおかげでモノの価格が下がって需給が調整されることが原因です。更に、円高のおかげで輸入品の価格が下がるというのもありました。

 

このデフレの問題は実質的な金利が上がってしまうということです。

物価が下がるということは、今の1万円の価値より1年後の1万円の価値が高まるということです。

そうすると、今、時給1000円のバイト代10時間と1000円本10冊分に相当する1万円を借りたとして、1年後に1万円返すには時給が910円になり11時間バイトするか本が910円になり11冊を我慢しなければいけないということが起き、額面では金利ゼロですが実質的に金利が付いている状態になります。

そうすると、貯金がある人は、今買うより先延ばしにしたほうが安く買えて得なので需要は減ります。お金を借りて投資しようと思った企業も、デフレが続くと将来返すのが大変なので二の足を踏みこれも需要減の要因です。

通常、貸したい人のニーズと借りたい人のニーズは金利が変化することで調整されるのですが、金利はマイナスにできないので、もう金利が0になってしまったらデフレによる実質的な高金利状態を調整する方法がないのです。

 

4.円高でした

当時は1ドル90円程度の円高で、円高になれば円建てでは同じ値段でも外国の通貨で見れば値段が高くなるわけで輸出競争力の上で厳しい面がありました。これは輸出の上でマイナスです。

すると、作っても売れなそうなので、企業は工場を作ったりしませんから、企業の設備投資としての需要も減ります。

また、相対的に海外の労働者の方が日本の労働者より安くなるわけですから工場の海外移転も進み、その分GDPは減りますし日本の働き口も減ります。

日本の財政は借金多すぎて破たんする説等ありましたが、日本は国は借金だらけですが家計にはものすごくお金があり対外債権も多いので、円の価値自体はカタく、安心できる通貨なのでみんなが欲しがるので円が高くなるというわけです。

ちなみに、国の借金が返せなくて破たんするという恐れは今のところありません、日本の借金はほとんど円建てですが、円建てで借りている借金は、最後は日銀が輪転機を回せばいくらでも返せるのです。外貨建てで借りているギリシャとはここが大きく違います。

 

5.失業率が多かった。

国内に需要がない、輸出も円高で厳しいという状況で国内に働き口は減り、失業率が高まりました。これも需要減につながります。

ていうか、国民の厚生的に大問題です。

 

6.財政赤字を出し続けていました。

需要がないなら国が需要を作ればいいという考えで、道路作ったり散々色々お金使ってきたのですが、イマイチ効果が出ず、そのうち老人が増えてきて社会保障費がどんどん必要になりました。

一方で、所得も企業収益も伸びず税収は上がりませんというのに加え、デフレのおかげで額面の税収が下がるという問題もありました。

更にデフレになって額面の所得が下がると、所得税が額面金額ベースの累進税率になっているので、実質的な税率が下がるという効果もあります。

そして、デフレによる実質的な金利高により、国の借りた金を返すことが一層大変になっていました。

 

この状況に対して、金利誘導、為替介入、公共投資といった伝統的な政策を色々とやってはきたのですが、20年間なかなかうまくいかなかった。

途中で消費税5%にしたり、日銀がゼロ金利政策を止めたり、あのときあれがなければどうなっていただろうと思うこともあるのですが...

 

すみませんやっとアベノミクス前の状況説明が終わりました。次はアベノミクスそのものの説明をするつもりです。

 


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